フォルカスの倫理的な死

作者 枕目

1734

640人が評価しました

★で称える

レビューを書く

★★★ Excellent!!!

 何よりも先ず、ともかく圧倒されたと言いたいです。
 構成や筆致の素晴らしさは言うまでもなく、この強烈過ぎる――それでいて細を穿ったまでのメッセージ性。
 現代への皮肉と言い表すよりは、本当に現代への問題提起なのだと感じました。
 倫理――モラルとは誰が作るものなのか。
 あるいは人間の根底には結局そのようなものなど初めから無く、自らを騙し、律する為の方便なのか。
 作中の全ての言葉にすら余す事なく意味があるのではと、何度も読み返し、考察してしまいます。
 このような作品に出会え、感動でした。

★★★ Excellent!!!

美しい構造物を眺めているかのような精緻な構成力にまず引き込まれる。そこで綴られる物語は新技術の普及によって倫理のパラダイムシフトが起きた世界での出来事。倫理が変遷した世界における社会の様々な変化は、倫理が盤石で確固たる規範があった上で定義されるものではなく、むしろ曖昧な多くの人々のドロドロとした「気分」で形成され共有されるものであり、それが容易に暴走するものであることを淡々とした筆致で露わにしている。フォルカスの2度にわたる死はそんなディストピアな世界の犠牲者であり、生贄であり、悲劇の象徴として深い余韻を残す存在。文章に通底する乾いた抒情性、そして最後を締めくくる一文の筆舌に尽くしがたい美しさ、そして何よりも痺れたのは、作中の言葉を借りれば「自分の外側に悪いものを探して、それを叩くことで自分が倫理的な人間だと思おうとする」人々に対しての静かだが、鋭く辛辣な皮肉と怒りをここまで洗練された物語に昇華させ突きつけてみせたところにとても心を揺さぶられる。近未来SFであり、現代をカリカチュア的に描写した極めて批評性の高い同時代小説でもあるこの作品は何度読み返してもとめどもない魅力と啓示をもたらす優れた物語です。

★★★ Excellent!!!

最後まで読んだとき、なんだか心が粟立つような感じがしました。動物を殺さずに肉を食べられるようになったことが、逆に命に対しての更なる冒涜を生み出しているように感じました。とても考えさせられる作品だと思います。

★★★ Excellent!!!

 読んでていて、未来がこうなる可能性があると思い、怖くなった。
それでも多分、この主人公のように新しい時代の子供たちは、平気で暮らしていくだろう。何も疑問には思わず、日常を生きる。

だからこそ、今の時代だからこの話に心を動かされるだろう。
クローンや人工知能、万能細胞だと言われているips細胞だってそうだ。人間は新しく別のものを作る技術を着々と進歩している。

今だから、きっとこの現代だからこそなんだ。


私個人の意見では、こうなって欲しくはないですね。


★★★ Excellent!!!

現代への批評であり警鐘、近未来には失われているかも知れない大事な物を、科学的な知識を駆使した想像力で描いて、「ああ、凄いな」と感服すると同時に、ハードボイルドのような乾いた抒情性に心地よく酔いました。
作者様は状況を、過去未来含めて俯瞰しておられるのかと推察します。

★★★ Excellent!!!

現実に興りつつある、いくつものパラダイムシフトを、さらっと作品に落とし込む実力と感性。スピード感。
プレゼンも含め、著者の魅力や才能が凝縮された作品だと思います。もっと読みたい。

フォルカスや主人公が感じたような、切実な違和感の総体は、どんな未来を作るのか?

★★★ Excellent!!!

 もし仮に、人間がコピーしか必要としなくなったら、世界はどうなるだろう、と考えた。きっと、人間の必要性すらなくなるのではないか。
 現在、食品には「遺伝子組み換え大豆不使用」とか「有機栽培」とか自然なものが安全なものとして、表記されている。それが反転した世界に主人公がいる。
 主人公は「自然な肉」を食べたかった。それは人間が自然に生きることの意味を読者に問いかける。

★★★ Excellent!!!

他の方がおっしゃているように、何十年後かに読まれた時、どういう感想を抱くか。
まさかこんなことあるわけない。そう否定したくても否定できない。そういう恐怖がここにはある。
今この話に恐怖する人が、何十年後かには少数派になるかもしれない。
ぜひ、読んでほしい。そして今抱いた感想を、恐怖を、ずっと忘れないでほしい

★★★ Excellent!!!

小説の中にもタバコの件などで出てきますが、もう既に、こういう倫理の逆転がかなり起こっていますよね。今正しいとされている事が、以前はとんでもだったり。。民主主義って、多数派が正しいという概念ではないんですけど、錯覚しがちです。私は嫌煙家ですが、映画やアニメの中に出てくる喫煙シーンは好きです。真似して吸ってみたいと何度も思いました。でもきっと実際にタバコをコンビニで買ってきて、家で1人で付けてみても、やはりこの小説の主人公のように、「わからない」んだろうと思います。客観だからこそいいものもあるのかな、と。それでもタバコを吸うシーンはやはりいつ見てもカッコイイ。何が言いたいのか自分でもよく分かりませんが、とにかく、“これは私(全ての人類)のことだ”と猛烈に感じました。つまり、感動しました。読んでいたら、頭の中に映像が出てきました。中盤まで主人公が女性で若いということがわかりませんが、私の頭の中では、冒頭から主人公は若い女性でした。少しびっくりしました。きっとこれから何度か読み返したくなる小説です。色んな人に、薦めます。枕目さんの他の作品も、お金を出してでも読んでみたいです。

★★★ Excellent!!!

倫理観の移り変わり、に、皮肉も交えて面白い
が、ただ、それだけにとどまらないテーマを含んだ小説だと感じる、私の理解力、表現力で表すには難しいようだ

文章のリズムがよく、読みやすい

★★★ Excellent!!!

将来、本当にこんな世界がやってきてしまいそう。やってくる可能性を否定できない。だからこそ、この小説は読む価値がある。効率が正義で非効率は悪、そんな味気のない世界になる前に、社会への警鐘として、広く読まれるべき作品だと思います。

★★★ Excellent!!!

倫理というものが人の営みの中で作られてものでしかなく、絶対的な、揺るぎのないものではないという、普段は忘れがちな性質を、目の前に突きつけられた感じがします。
正しさとは何なのか、未来はどうなっていくのか、思いを馳せるきっかけにもなりました。

★★★ Excellent!!!

設定がいいですね、物語も緩くなくスムーズに進み、オチもしっかりと決まる。

この作品に関してはレビューして内容を書くよりも、実際に読んで貰って味わった方がいい気がします。

この世界の雰囲気だけでも味わえてよかった、そんな気分にさせてくれる短編です。

作者の次の作品に期待して星3つ送らせて頂きます。ありがとうございました。

★★★ Excellent!!!

”正しい”倫理のために”正しく”発展したはずの社会で”正しい”倫理観を失った人々。是とされるものを追求し過ぎた結果、それが逆転してしまったというパラドックス。倫理はもちろん、それ以外の当然”正しい”とされていることに疑義を呈してくれる素敵な作品でした。一読をお勧めします。

★★★ Excellent!!!

今自分たちにとっての当たり前というものを改めて考えさせられる作品でした。
自分にとっての当たり前というのはずっと昔から当たり前だったわけではない。また、自分にとっての当たり前を受け入れられない人もいる。
そんな「当たり前」を気づかせてくれるような内容であったと感じました。
この感覚はこの作品を読んでみなければわからないでしょう。

また、文章力も高く表現が読んでいて引き込まれます。簡潔で、それでいて奥行きのある表現が心地よい。SFでありながら、世界観を理解するという難しさを感じさせない、引き込むような文章でした。

誰かに読んでほしい。素直にそう思える作品でした。
こんな素敵な作品を読ませていただき、ありがとうございます。

★★★ Excellent!!!

生きるということ、物を食べるということ、命のこと、それをとても考えさせられる物語でした。
人の価値観、社会の価値観、それは時代と共にうつろい変わります。コーヒーもヨーロッパでははじめのうち薬としてもてはやされましたし、暴力的表現、性に対する扱いなども時代によって変わっていきました。多数派が正しいという世界の中でぼくたちも倫理的な死を少なからず感じる瞬間があるような気がします。答えはでないですが、それでも生きることはやめられないのだなぁと思いました。非常に面白かったです。

★★ Very Good!!


 食べることの倫理が違う世界、というSFは昔からある。有名な「ミノタウロスの皿」のような……
 それと並ぶくらい切れ味の鋭い作品だと思いました。
 カクヨムってディストピアSFの秀作が多いみたいですが、ディストピアというのは単に酷いだけでなく、「筋が通った世界」で、「もしかすると俺達の世界のほうがおかしいのかも」みたいな気持ちが湧き起こってこそ、本物のディストピアだと思うんですよ。
 現実破壊力のある優れた作品です。

★★★ Excellent!!!

あるいはこれが答だと自信満々に持論を語る者もいる

しかし世の中には実はきっちりした答などありえない、割り切れないものがたくさんあるのではないか

とすれば世界と真摯に向き合うほどに、人はこの割り切れないもどかしさを抱えたまま生きていくしかない

そんなもどかしさを突きつけられてゾクゾクしたい方は是非ご一読

★★★ Excellent!!!

価値観が人を殺す。
他のレビューと同じく。本当に起こり得る可能性がある話でとても興味深く、今も昔も時代の転換期に合わせて、変わる人・変われない人・変わりきれなかった人が分かる内容でした。

大きく変わった未来の人は、今の私達から見ると意識の面で最早人では無いと感じる時が来るのかもしれません。

★★★ Excellent!!!

将来、実際に起こりえるようなテーマですね。現在家畜として食べられるために生みだされている生き物たち。
確かに人間本位だし残酷な行為なんだと思います。
殺して、食べる。でも、だからこそ、命に対して鈍感にならずにいられるのかもなぁ…とこの作品を読んで感じました。

★★★ Excellent!!!

肉の設定などが非常に考えられて作られている。SFとしてそういった細かい設定だけでも十分にお腹一杯になるのだが、更にそこに倫理観といったスパイスが加わりとても充実した内容になっている。
機械猫ファルカスの話はこの世界観を集約したようなもの。
良い物を読んだ!

★★★ Excellent!!!

タイトルに惹かれてずっと気になっていた作品。
矛盾をはらんだ倫理観の推移を、巧みな構成と淡々とした文体とで描ききっている。
淡々としているけども、実はむせび泣いているような気配が漂う。