1人の天才科学者とアトランティスで暮らしていた少年を一本のつまようじが繋ぎ、過去から未来までを結びつける!
これは、人と人を繋ぐ愛に溢れた物語で、そして世界の謎を解き明かす答えが隠されているかもしれない壮大なファンタジー物語。
本当にとっても面白いです。
あちらこちらにセンスよく散りばめられたジョークの要素も心地よく、読んでいるうちにどんどん深く物語に引き込まれていきます。そして、いやーな悪役に対しては心から怒りが込み上げてきて、自然と登場人物に共感出来ます。
このお話、ずっーと読み手をワクワクさせてくれて、常に前向きな気持ちで読み続けられるように文章が綴られていて、本当に素晴らしい作品だなと思いました。
ラストは感動して、嬉しくて、うるうるさせられること間違いなしです!
そして、全てを読んだあとにエピローグを読めば…更に、大切なメッセージを受け取る事もできることと思います。
是非、是非!読んでみて頂きたい作品です!
本作は科学的(サイエンティフィック)な虚構(フィクション)でありすこし不思議な話しなのだが、鏡のように世相を反映しているとわたしは思う。本作を読みはじめた当初、まるで今という時代をそのまま小説という形式に変換したようだとの感想を持ったものである。
元来わたしはひとにものを薦める趣味を持たない。そうなのだが、わたし個人としては、サクッと読める作品よりも、長大かつ重厚な作品を好むひとに本作をオススメしたい。わたしがそうだったように、いわゆる「オカルト」にまったく興味・関心がないひとでも読むのに支障のない内容だと思う。
このサイトは★を最大3つまでつけて評価する仕様だが、仮に5段界評価だったとしても最大の5の評価にしただろう。まれにみる傑作だと思う。
天才科学者がアトランティス大陸を目指し、脱獄するお話。
これを主軸として、他視点のお話が2つ、存在します。
脱獄なんて、どんな悪い事をした科学者なのか?
気になりますよね。
まず、ここで驚かされる事になるでしょう。
そして、他視点のお話。
これらがどう繋がってくるのか。
最初は見えそうで見えない繋がりなのですが、繋がった瞬間がもう、たまりません!
こちらの作品には、現在・過去・未来、全てが詰め込まれています。
人間の愚かさや過ち、そして真に大切なものは何かを訴え、強く問いかけてくる作品でもあります。
今、悲しい事に、現実でも過ちが繰り返されています。
それは問題の大小に関わらず、です。
私達は繰り返さないと学べない生き物なのでしょうか?
そうではないと、私は思いたいです。
そして残念な事に、私の言葉だけではこの作品の素晴らしさを表現しきれません。
それでも、書かずにはいられませんでした。
それぐらい面白いです。
私の言葉が大げさだと思う方も、タイトルの『アトランティスのつまようじ』に「ん?」と思われる方も、ぜひお読み下さい。
きっかけはなんだっていいのです。
読まれた方それぞれに必要なメッセージが届く。
そんな思いの込められた、たくさんの方に読んでほしい作品です。
頭痛も歯痛も予防が大事。なら、戦争は?
暴力の最終形態が戦争なら、その痛みが表面化する前に未然に防ぐことは可能だろうか?
拝読しながらそんな突拍子もないことをつい考えてしまったのは、それだけこの物語が誰に対しても開かれているからかもしれません。まずは物語を楽しんでもらいたい、そんな作者さまの心遣いを作品の端々から感じました。
肩肘張らずに作品の世界に入り込める軽妙な語り口と、張り巡らされた伏線。
日常の中の小さな謎やロマンを追いかけるうち、少し不思議な物語はいつしか華麗な脱獄劇へと変身を遂げる。
次第に交錯する三つの物語の果てに見える世界とは――。
この作品の真ん中にはいつもアトランティスの秘密が横たわっていて、時代も場所も違う人たち(あるいはロボットたち)の心をひょいと壁をすり抜けるように繋げてしまいます。そんな物語の力を遺憾無く発揮した作品が書けるのは、やはり作者さま自身が物語の力を信じているからなのだろうと思います。
きっと独りでいたなら絶望で途方にくれてしまうような問題も、途方もない未来も、途方もない過去も。
なぜかこの作品に触れていると身近に感じられて、ついつい地に足つけて考えたくなる。
そんな少し不思議で、脱獄もので、魂に触れる、ひとつのジャンルに収まらないような多彩な魅力に溢れた作品でした。
ところで、この作品は私にとって出会いからして少し不思議な物語でした。
元々交流のある方たちのところで何度かすれ違っていたのですが、偶然、自作品でアトランティス伝説に触れる流れになり、かといってアトランティスとムーの違いもわからない私が書くのはいかがなものかと途方に暮れているところへ『アトランティスのつまようじ』というタイトルが飛び込んで来ました。
これはもう、読むしかないでしょう?✨
そんないろんな人を繋げる不思議な魅力がアトランティスにはあるのかなぁと思うと同時に、物語を愛する人のところにはやっぱり素敵な物語が集まるのだろうかと思った次第です。
このレビューを偶然見かけたあなたに、心から、オススメいたします✴️
囚われの身の科学者が伝説のアトランティス大陸を目指す脱獄物語を主軸に、彼の生い立ちの物語、そして彼が発見した「手帳の中の物語」を絡ませて展開するSF巨編。
3つの物語が交差しながら進んでいくものの、そのナレーションがすべて読みやすい語りで、分かりやすい構成で進められていくので、迷うことなく話を追っていくことができます。
スケールの大きな脱走劇を前に、主人公を取り巻く天才科学者たちや、彼を支える者たちがどう関わってくるのか。物語が絡み合うなかで、彼らの人物像や人間関係もくっきりと浮かび上がります。そこで感じるのは、本当の友を持つ幸福。どんな状況でも信じ合える者がいる心強さ。
天才科学者である主人公の境遇はまったくと言っていいほど幸せではありません。幸福を追求して生み出したはずのものも、使い方を誤れば人を不幸に貶める。理想と現実のはざまに苦しむ姿には、過去を生きた(あるいは現在を生きている)科学者の悲しみを見るようです。
彼の目に映る世界のありようは、おそらく筆者の見るそれと同じなのだと思います。そこには人類への絶望感、怒り、警鐘が表れています。しかし同時に、アトランティスに象徴される希望や、人類への果てない願いも強く感じるのです。
SF娯楽大作であると同時に、生きる上で忘れたくない箴言がたくさん織り込まれたお話です。すべての世代の方にお勧めします。
大河のような物語を一滴目からいただいております。
少しずつですが、長い長い河を行くように、共に畔を歩みたいと思います。
作中、私の感じたことは、人はどのように生まれ、どのように生を切りひらいて行くのか、人生の端々が見えます。
目次を拝見いたしますと、視点の切り替えが分かります。
主人公が一人ではない。
これも大変な創作ではないでしょうか。
作者様は、人の運命的な位置付けがとても巧みです。
他の作品でも運命を扱ったものがございました。
綿密に練られた本作、計画的な表面上のことよりも、登場人物達の気持ちに寄り添いながら、壮大な物語だと言うことを忘れて頁を捲ると、きっといつかラストが待っている。
それも楽しみの一つです。
大幅改稿をなさったようで、これからも楽しみな本作となっております。
拝読している途中ですが、応援させてください。
是非、このタイトルが気になった方、真意を掴みにいらしてください。
3人の視点で進んでいく、SF冒険小説です。(実際には二人ですか(笑))
読み始めは物語がどう進んでいくのか、全くわからないですが、3章まできた辺りから、面白さに拍車がかかります。
緻密に練られた構成により、それぞれの視点から次第に明るみになる物語は、ぜひとも一度完結したあと、それぞれの視点を通しで読みたいと思わせてくれます。
作者様の化学的知識も素晴らしいですが、個人的には物語の所々に散りばめられた遊び心による小ネタが好きです。シーエムやアムロなど(笑)
それらが、SFというどうしても説明が多くなってしまう小説を、読みやすくしてくれている要因でもあると思っています。作者様の童話のような文体もその1つですが。おかげで1話1話の冒頭から、すぐに話に入り込めます。
つくづくハートや星が一度しか付けられないのが残念です。
これからも楽しみに読ませて頂きます。
アトランティス大陸を目指す天才科学者が主人公の当作。この作品は……。
――面白いの一言に尽きる!
アトランティスを目指すって変人かよ? って最初思っちゃいますが、実際は変人ではなく……「囚人」です。
一体なんで? ってのはネタバレで明かせませんが……てか、ネタバレなしでこの作品のレビューを書くってなかなか難しいな……。
手帳に伝記に様々な要素が混じってくる複雑で構成がしっかりした、でもサクサクと次々に読んでいってしまうそんな物語。
これらがどんどん絡まって言って、そういうことだったのか! と言える。
彼らの脱獄は一体成功するのか? その先の運命は?
いったい何が起こるのかこの先も楽しみです! 名作!
たまたま、この作品を見つけて、評価も高いし、紹介文を見てもおもしろそうなので……。とそんな軽い気持ちで読んでみましたが。
ものすごい作品です!
私の中では、いまの★の10倍くらいの評価があっても良いのでは、と思うくらいです。
アトランティスのつまようじ。
タイトルだけでは意味は分かりません。
中身を見ると、刑務所に閉じ込められた一人の壮年の科学者が脱獄を志す現代の話と、彼の生い立ち。それから一見何の脈絡もなさそうな、はるか未来の一人の少年の話。
それが、各章にそれぞれ散りばめられています。
それらが同時に進んでいって、どう絡み合うのかなと思ったら「そう来たか!」と素晴らしさのあまりうなってしまいました。
脱獄の本編も魅力的なのですが、主人公を取り巻くキャラクターたちも魅力的。さらに不遇な人生ながらも、腐らなかった主人公の強さ、号泣もののフィナーレ。
「アトランティスのつまようじ」とは一体何なのかも、ご自身の目でお確かめください。
そして最後に、この話を通じて、作者さまが訴えたかったメッセージとは?
私自身もとても考えさせられるものがありました。
ネタバレになってしまうので、これくらいにさせていただきますが、最後に一言。
本当に読まないともったいない、いや読むべき作品です。
素晴らしい読書時間をありがとうございました。
なんと主人公は刑務所に入れられた天才科学者、ただし世渡りは下手なおじさん織田輝男。これは、彼の脱獄の物語である。
脱獄。それは彼を閉じ込めた刑務所からの脱出であり、彼を迫害する者たちへの復讐であり、そして自由への逃亡である。
その脱獄劇へ、幻の大陸アトランティスが絡み、さらにそのアトランティスから来た「つまようじ」からこの物語は始まる。
いや、輝男がそのつまようじを手に入れた時にはすでに、この物語は始まっていたと言えるかも知れない。
果たしてタイトルにある「アトランティスのつまようじ」とは何か。幻の大陸アトランティスは実在するのか? 実在するのならば、それはどこに?
そして、脱出不可能の刑務所に収監されている輝男は、どうやってそのアトランティスの謎を解くのか?
とにかく壮大な物語です。時空を超え、常識を超えて展開する大脱出劇。
簡易な文章で書かれた、まるで童話のような表現。その中に描かれる人間の愚かさや妬み、恨み。
そもそもが、なぜ天才科学者である織田輝男が収監されなければならないのだろうか? そんな世の中の矛盾と戦うおっさんの冒険物語。しかも舞台はほとんど刑務所の中。
長い作品なのですが読み終えたことで、小説を書くこと、そして物語を紡ぐことに関して、すごく勉強になりました。
囚われの天才発明家は、嘆いていた。人間は、なんと愚かで幼稚なのか。だが彼は、諦めてはいなかった!
仲間の囚人達(天才科学者)や大切な友人と力を合わせ、彼ら(ペット含む)は理想郷を目指す。謎の大陸にして約束の地、はるかアトランティスへ!
その伝記で語られるのは、愛されずに育った一人の少年について。
「テルオ」は気高い魂と優しく純粋な心、そして天才的頭脳の持ち主。辛く孤独な生活の中で生涯の友を得た彼は、苦労を重ねながらも成長していく。だが、世界はやはり理不尽だった……
犯罪の無い世界で2百年ぶりに出た犯罪者、「スケイプ」。
彼の半生を綴った作文を元に審議した結果、スケイプに科された罰とは。そして新たな生活で経験したのは……彼はある決断を下し、最後の作文を綴る。
3つの独立した物語が、たくさんの謎を散りばめながら同時に進む。それらが徐々に絡み合い、時に前後し、次々に謎が明かされて、気の遠くなるような壮大な結末へと収束していく。
……なんて書くと難しそうですが、とても読みやすくめちゃくちゃ面白い、胸躍る冒険活劇なんです!
7千年にも渡る謎、魅力的な登場人物たち、手に汗握る奇想天外な物語を、是非お楽しみください!
科学の発達は、本来は人々の幸せのために使うべきもの。
でも実際の世の中では、人々を苦しめるために使われることが多く、発明した人は良心の呵責に苦しめられています。
なぜ人は、そんなにも愚かなのか……
けれど、この物語で主人公の輝男は、あきらめずにアトランティスと言う人類の未来の理想郷を目指して突き進みます。
三部構成となっている本作品。
輝男と200名の科学者達の脱獄の顛末。
アトランティス生まれの少年の生涯。
輝男と友人達の生涯。
そこに張り巡らされた伏線の数々。
最後にパズルのピースがピタリと嵌った瞬間、その爽快感と壮大な世界観にため息が出ることと思います。
そして作者様の人類に対する温かい目と、希望を捨てない強いメッセージを感じるはずです。
体感したい方は、是非読んでみてください。
ミステリーが好きな方
科学やSFが好きな方
神話や歴史が好きな方
奥深い人間の感情を抉るドラマが好きな方
そんな皆さんを絶対に楽しませてくれる物語です。
『アトランティス』の『つまようじ』。
この、一見すると結び付きのない2つの言葉が組み合わさったタイトル。
これだけで気になるし、もう面白そうでしょ?
面白かったですよ!! めちゃくちゃ面白かったですよ!!
天才的頭脳を持つ科学者たちが囚人として捕らえられた収容施設。そこからの脱走計画を主軸に、主人公・輝男の過去、そして未来の世界で刑の執行を待つ囚人、3本のストーリーが絡み合って進行していきます。
個性的な登場人物たちと、緩急ある展開に彩りを添えるどこか詩的な感情表現。
未知の大陸への夢と、科学の進歩の行き着く先と、人の心と。
キーアイテム『アトランティスのつまようじ』によって解き明かされていく謎に、読む手が止まりません。
壮大でロマン溢れる新時代の叙事詩のようでもあります。
ダイナマイトを発明したノーベルは、それが戦争に使われることを望まなかったはず。
素晴らしい技術も大きな力も、使い方によっては善にも悪にもなり得ます。
3つのストーリーが1つに繋がった時、人類の遥かな歴史と、その中にある織田輝男という1人の科学者の人生に、気の遠くなるほどの想いを馳せたくなることでしょう。
心の底から面白かったです!
本当に素晴らしい作品でした!
研究所(刑務所)というパラレルな場で、天才科学者(囚人)達が織りなす華麗なる脱獄劇。
科学者ならではのスマートな手法、それを可能にする者たちの熱意と底力は圧巻です。
脱獄の筆頭・輝男の半生は苦労の連鎖反応。しかし、絶望の闇を味わい尽くしながらも、そこから一筋の光明を見出す天才。それが輝男なのです。
経験故になのか、生来の性質なのか、何処か打たれ強い。絶望に飲まれ諦めかけた瞬間もあったかもしれません。それでも懲りずに、不死鳥の如く立ち上がり羽を広げる様は何とも格好いい。
更に、偉大な科学者ほど苦悩してきたであろう事も、輝男に投影されています。熱いメッセージが三つの物語と共に編み込まれ、祈りの様な物語に仕上がっており、感動しました。
文明の利器は本当に人を幸せにするのだろうか。答えは出ずとも、人類が絶滅するまでの間、目を背けてはいけないテーマに思えてなりません。
最後に、脱獄を果たした輝男は、少年の様に肌もツヤツヤしていたのでは? などと想像せずにはいられませんでした。なにせ、三重螺旋構造(コラーゲン )の物語に包まれたのですから。これは瑞々しく弾力のある、力強い物語なのです。
二百人の天才科学者たちが、それぞれの頭脳を駆使し、収容されている施設から集団大脱走!
…と、これだけでも映画になりそうな一大エンタメの気配がしますが、本作は脱走するだけにとどまりません。
彼らが目指すのは、はるか昔に海中に没したと伝えられる文明大陸・アトランティス。
主人公・輝男は、その伝説に魅せられ、その存在を裏付ける証拠を手に入れます。
彼の天才的頭脳を正しく使えない人類のもとから脱し、未知の可能性を秘めた伝説の大陸へ。
物語は、輝男の脱走劇の進行に沿って進みますが、輝男の過去・はるか未来の世界の話まで、同時進行で語られていきます。
過去・現在・未来が同時に進みながら、脱走の顛末、それに伴う数々の謎を明らかにしていくのです。
広い世界を横軸に、時空を超えた長き人類の物語を縦軸に。
三つの時代の物語が、時に混ざり合いながら、同じ地点を目指して帰結する瞬間の快感は、もちろん読んだ人にしかわかりません。
私は本作と、同作者の別作品『ボーイズダイアリー』を読んで、長い時を描く、登場人物の半生史っていいな、と思うようになりました。
幅広い年代を掘り下げるので難しそうですが、いつか書いてみたいテーマです。
人類普遍の重い問題を取り上げながらも、コメディを織り交ぜながら軽いタッチで読みやすく描かれるのはこの作者の持ち味ですね。
映画のような、壮大かつ爽快なエンタメをぜひ味わってみてください!
大罪人として閉じ込められた科学者たち。
その中の一人輝男は、脱獄を決意します。
しかし彼らが住める場所は地球上どこにもない……そんな中彼は、まだ誰も見つけたことがない『アトランティス』への移住を提案するのです。
彼は実は、アトランティスに行ったことがありました。
しかも、証拠品も持ってました。
それが今作のタイトル、『アトランティスのつまようじ』。実はこれ、ダイヤモンド。しかも不可能であるはずの「二次元の傷」がついていて、しかもしかも「アトランティスについて」のことが書かれていたのでした。
輝男は、順風満帆な人生を送ってはいませんでした。
母や「おばあちゃん」は無関心、教師からはいじめられます。弁明しても「嘘つき」と呼ばれ、泣いても笑っても否定される。
言葉とは、ちっとも便利でもなくて、不確かで、簡単に踏みつけられるものです。
でも彼は、暴力よりも言葉の力を信じ続けます。
輝男は発明の天才ではありますが、あまりに真面目な人間なので、お金を儲けようとして発明するのはとても下手くそです。
ただ、好きな女の子やお世話になった人にプレゼントしたかったのです。この物語は、「大切な人を助けたかった」ために脇目も振らず研究し、そして政府によって悪用され、大罪人となった科学者が多くいます。
科学者たちがいなかったら悪いことはなかった。そうかもしれません。
でも、「大切な人への手紙を書くこと」を、「悪」だなんて言えるでしょうか。
人が人へ伝える方法は、言葉だけじゃなくて、
音楽だったり、料理だったり、演技であったり、物であったり、結果であったり、ただそこにいて、視線を交わすことだったり。
長く語りましたが、世界は実は狭くて単純で、誰かに何かを伝えたくて、何かをなそうとしているだけなのかもしれない。
「アトランティスのつまようじ」もまた、手紙であったのだから。
何がすごいって、この作品3つの関連のある個別のストーリーが同時進行していくからすごいのですよ。天才科学者輝男の現在と過去、そして手帳に描かれた謎のストーリー。人称の違いを解決するために考え出されたそうですが、これほど脳を刺激しながら完璧に計算されつくされたパズルのように組み合わさるストーリーがあったでしょうか。3つ同時進行、間違うと頭がこんがらがりそうですが、心配ご無用です。とにかく読みやすいですから。そして、1章が終わるころには作品にくぎ付けでした。
ストーリーにたくさん隠された謎、秘密、カギ。それらを拾い集めながら、物語の核心に迫っていく感覚は快感としか言いようがありません。なんでこんな面白いストーリーを思いつくのでしょうね。
SF要素もふんだんにありますが読みやすく、アプローチもユニーク。とても好みの文体で最後まで楽しませていただきました。とってもおすすめです。読んでいかれませんか?