まるで三重螺旋構造のコラーゲン合成の過程を眺めているようだ。

研究所(刑務所)というパラレルな場で、天才科学者(囚人)達が織りなす華麗なる脱獄劇。

科学者ならではのスマートな手法、それを可能にする者たちの熱意と底力は圧巻です。

脱獄の筆頭・輝男の半生は苦労の連鎖反応。しかし、絶望の闇を味わい尽くしながらも、そこから一筋の光明を見出す天才。それが輝男なのです。

経験故になのか、生来の性質なのか、何処か打たれ強い。絶望に飲まれ諦めかけた瞬間もあったかもしれません。それでも懲りずに、不死鳥の如く立ち上がり羽を広げる様は何とも格好いい。

更に、偉大な科学者ほど苦悩してきたであろう事も、輝男に投影されています。熱いメッセージが三つの物語と共に編み込まれ、祈りの様な物語に仕上がっており、感動しました。

文明の利器は本当に人を幸せにするのだろうか。答えは出ずとも、人類が絶滅するまでの間、目を背けてはいけないテーマに思えてなりません。

最後に、脱獄を果たした輝男は、少年の様に肌もツヤツヤしていたのでは? などと想像せずにはいられませんでした。なにせ、三重螺旋構造(コラーゲン )の物語に包まれたのですから。これは瑞々しく弾力のある、力強い物語なのです。

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