概要
生きるためにあがいて、苦い悔いをかさねる。たぶんどこかにある情景
同僚社員に解雇を申し渡さなければならない中堅管理職の一日と回想。
短編集『ユダによる福音書』から、カクヨムコン用に切り出した一篇です。
https://kakuyomu.jp/works/16818023212996830440
短編集『ユダによる福音書』から、カクヨムコン用に切り出した一篇です。
https://kakuyomu.jp/works/16818023212996830440
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!時に、他人の家から漏れ出る灯りを冷たく感じることもある。
解雇を言い渡す仕事で目にすることの多い、抗い、そして諦める有様は、「生きている」証のようにも思えた。それすらも出来ない身を思えばこそ。
淡々と描写される並置された情景、仕事、家庭がどれもその瞬間に引き立つ走馬灯のようでもある。それを瑣末で些細なこととして傍観し、我に返る。
風に攫われたその先で川の澱みに溜まったり、流れに砕かれ野に還ったりする落ち葉から目を逸らしたい。それなのに自分にはどうしようもなく、ただ川の流れの途中に佇んでいる。或いはしがみつかねば流されてしまう。
それこそ人生なのだろうかと溢れ出す涙さえも、その大河の一滴に過ぎない。