華麗なる大脱走!見果てぬ夢大陸を目指し、過去・現在・未来が動き出す!

二百人の天才科学者たちが、それぞれの頭脳を駆使し、収容されている施設から集団大脱走!
…と、これだけでも映画になりそうな一大エンタメの気配がしますが、本作は脱走するだけにとどまりません。
彼らが目指すのは、はるか昔に海中に没したと伝えられる文明大陸・アトランティス。
主人公・輝男は、その伝説に魅せられ、その存在を裏付ける証拠を手に入れます。

彼の天才的頭脳を正しく使えない人類のもとから脱し、未知の可能性を秘めた伝説の大陸へ。
物語は、輝男の脱走劇の進行に沿って進みますが、輝男の過去・はるか未来の世界の話まで、同時進行で語られていきます。
過去・現在・未来が同時に進みながら、脱走の顛末、それに伴う数々の謎を明らかにしていくのです。

広い世界を横軸に、時空を超えた長き人類の物語を縦軸に。
三つの時代の物語が、時に混ざり合いながら、同じ地点を目指して帰結する瞬間の快感は、もちろん読んだ人にしかわかりません。

私は本作と、同作者の別作品『ボーイズダイアリー』を読んで、長い時を描く、登場人物の半生史っていいな、と思うようになりました。
幅広い年代を掘り下げるので難しそうですが、いつか書いてみたいテーマです。

人類普遍の重い問題を取り上げながらも、コメディを織り交ぜながら軽いタッチで読みやすく描かれるのはこの作者の持ち味ですね。
映画のような、壮大かつ爽快なエンタメをぜひ味わってみてください!

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