不思議で奇妙な掌編集である。
但し、完成度の高さという目線からすれば
このまま書店に置かれていたら躊躇なく
買うだろう。
それ程迄に細部まで創り込まれた作品の
数々は、どれも非常に印象的であって
そして一様に 仄暗い。
恰も、場末の水族館の巨大な水槽を前に
して立った時の不穏な、それでいて何故か
敬虔な安らぎを覚える様な。
タイトルにもなっている『ジンベイザメ』
その話自体は不穏であり不気味な余韻を
残す怪奇譚の類でもある。
だがしかし、そこに美しく幻想的な
一条の光明を見る。
何故か懐かしさを覚える様な錯覚を齎す。
水底の世界は、光によって神々しくも
華々しくも映るのだろう。
恰も、万華鏡のように。