少しずつ少しずつ状況が改善されて行く様子が、読んでいてほっこりとしました。必要な時に必要な手を、差し伸べたり差し伸べられたりするのって現実では結構難しいことのように思います。こんなふうに願いを聞き届けてくれる神様がいたら、私だったらなにを願うかな……?
主人公に父親はいませんでした。そんな彼と忙しい母の前に現れた喫茶店。店主は富樫。彼は、疲れた二人のことを、何でも知っていました。美味しいオムライスを食べさせてくれたり、主人公の遊び部屋を用意してくれたり、どうしてそこまで?と思うかもしれませんが、最後まで読むと、その謎も明らかになります。美味しいコーヒーを飲んだ時のように、暖かくて優しい秘密。この不思議な喫茶店は、いつもそこにあるのです。素敵なお話をありがとうございました。