七月の雨

作者 朝陽遥

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★★★ Excellent!!!

――

遺伝子登録法が制定された近未来。
全国民は遺伝子を鑑定、そのデータを管理され、
殺人者になりうる遺伝子を持つ人間は、
法の規定により、警察の監視下に置かれる。

……なんてことを、平々凡々で本好きな大学生の
「私」は、格段、意識もしていなかった。

毎週水曜日の図書館で素顔を見せる
同じ大学の男子、須田原が、
ほんの少し気になる距離になってきた7月。
夢見が悪くて、土砂降りの雨に見舞われた、その日。

ハハオヤと呼んだ響きの冷たさ。
くだらないとわかっていても、膨らんでしまった想像。

何気なくてかけがえのない平穏を、
ただその一瞬で壊してしまう。
表向きにはわからない、心の奥には刺さり続ける、
その後悔のなまなましさが苦しい。
経験したことがあるような喪失感に胸が痛んだ。
こういうリアリティが、すごく好き。

★★★ Excellent!!!

――

――取り返しのつかないこと。

そう聞いてまず思い浮かぶことはあるかと思いますが、この物語で描かれているものはもっと別の、それでも、本当に取り返しつかないことだと思います。

とにかく惹き込まれる文章で、主人公の微妙な女心を追っていくだけでも面白いのですが、それが後半の展開に結びつくことで、確かなリアリティとなって胸に迫ってくるものがありました。

一瞬の判断、一つの行動。
その重さについて、深く考えさせられました。