映画で観たい、は誉め言葉

と、言うのを先に伝えたい。

まず、この話はロボットを嫌悪する世界の話だ。余り書くとネタバレになるので書かないが。

シュルツ、マリア、ベイカー、クリス、登場する者は皆何とも生き生きとし、何よりそれぞれが傷と過去や事情を抱えていた。

個人的に好きなのはベイカーとレナーテだ。多分現実では一番合わなそうなのだけれど。

SFに詳しい者が読めばもしかしたらある程度、予想は付くかもしれない。けれどそう言うものは、気にならず次を読みたくなる話なのだ。

それはきっと魅力的な登場人物たちに感情移入するから。

シュルツ、マリアの葛藤。

クリス、ベイカーの悲哀。

トマス博士とヴォルフ局長の暗躍。

彼らの一挙一投足に読者もまた共鳴したように心が動く。

更に取り巻く環境。狩られるロボット、ヒューマノイド、狩ることで腹癒せする人間、etc.

ヒューマノイドに心は在るのか。ロボットは友か敵か。

本当はとても未来的なのだろうが、私には十九世紀のヨーロッパ、あるいはアメリカの町並みで起きているイメージが在った。

映像が浮かぶたび視覚的に観たいと思った。

とは言えすべてはこの小説を読んだからである。

緻密に描写され、人物たちが生き動くこの小説を読んだからこそ、「映画で観たい」と思うのだ。



まだ未読なSF好きに告ぐ。

お願いだから読んでください、頼みますよ←

ちなみに私はほぼ一晩で一気読みした。

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