第293話 大団円。

 勢いよく飛び出した俺は、空中で足をばたつかせながらビルへと向かう。しかし、ビルに届く直前で失速した。地面が迫る。だが、まだ諦めない。


『……うっ。……伸びろォッ!!』


 シャルを伸ばし、ビルへと突き刺した。激しい音を立てながら、落下の勢いは収まっていった。地上まで、あと3m程だろうか。ギリギリのところで、一命を取りとめた。この程度であれば、簡単に降りることができる。


『よっと……』


 地上へと降り立ち、みんなのところへと戻る。


【ヒカルー!】

【ヒカルくん!】

『みんな!』


 俺は右手を振り、応えた。イツキさんとグレンはジュウザブロウさんとリオンさんの肩を借りながら歩いている。


『イツキさんもグレンも無事だったんですね!』

【アレ、見られてたのか。まぁ、なんとかな……】

【1日で何回死にかけるんだよ、僕は……】


 2人の姿を見て安心した。


【これもオトハとカイユウのおかげだ】

【いえ、デゼスプワールの動きが止まったので、それが一番助かりました】

【確かに、あれは助かったわね。あれはヒカルくんのおかげよね?】

『あぁ、あの頭の中でデゼスプワールと戦っていたんだ。あの腕を止めようと必死に纏陣テンジンしてみたら意外とできたよ』

【簡単に言いよるなぁ。今回も大活躍やな、ヒカル様】

『やめてくださいよ』


 デゼスプワールを倒したせいもあって、みんな安堵あんどの表情を浮かべていた。


 良かった。

 本当に良かった。


 俺たちの戦いは、終わったんだ。

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