　Demise（デミス）は怒（いか）っているように見えた。なかなか俺たちを倒しきれないせいだろうか。こいつらにも、知性や感情があるのだろうか。今はそんなこと、どうでもいい。再び拳が降ってくる。

　見える。

　最小限の動きで避け、地面に叩きつけられた拳をシャルで突く。先ほどと違い、拳は簡単に粉々になった。瞬間的に集功（シュウコウ）を行っていたからだ。無意識のうちに体が最適化された動きをしてくれる。Demiseは焦った様子でもう片方の拳で攻撃してきた。こっちも同じように回避し、粉砕した。巨大な手の方は小さい方と比べると再生に時間がかかるようだ。拳が再生される前に、Demiseの体を一気に駆け上がる。

　もう1つの腕との2戦目だ。鎖骨付近から伸びた腕は本体の腕と比べるとかなり小さいためか、動きが早い。リオンさんが切ったときのように再生力も高い。

『それなら……』

　俺に向かって一直線に腕が伸びてくる。それを避け、俺は”コア”のある眉間に向かって走る。後ろからは伸びた腕がUターンして追ってきている。Demiseの腕の追いかける速度は俺の走る速度より少し早い。だが、この距離なら追いつかれる前に”コア”への攻撃が可能だ。

　攻撃してもすぐに再生してしまうなら戦わない。

　これが俺の出した答えだ。

　首の付根（つけね）あたりから上へと飛び上がった。このままでは眉間への攻撃は距離的に難しいと判断し、空中でシャルを分断した。Demiseのこめかみを越えたあたりまで飛び、そこから落下していく。落下していく間にシャルの1本をDemiseの目玉に突き刺した。突き刺したシャルにぶら下がり、目玉の位置に留まった。目玉への攻撃により、追いかけてきていた腕の動きが鈍っていた。反動をつけて眉間まで飛び、もう1本のシャルを”コア”のある眉間へ突き刺した。