第33話 爆発事故の原因。

【このレイヤー2での破壊活動はレイヤー0には影響しない。つまり、現実世界であるレイヤー0に戻ると、この広場は元通りなんだ】


 俺はふと思った。


『え……それって、あのカフェも元通りなんですか……?』

【あぁ、もちろんそうだ】


 嬉しさのあまり、目が潤んだが、涙を流すのは我慢した。目をぬぐって、続きを聞くことにする。


【説明を続けるぞ。最近、ニュースで爆発事故についての報道が多いのは知っているな?】

『はい、マレーシアとかカナダであったってのは見ましたね』

【その原因がDemiseデミスだ】

『ん? どんな関係があるんです? ここで起きたことは現実世界には影響がないって言ってましたよね?』

【あぁ、起きたことはな。Demiseの目的はレイヤーを突破し、レイヤー0への到達だ。そしてレイヤー0に到達したDemiseは破壊活動を行う。現実世界での謎の爆発事故は、他の”資格保有者”がレイヤーを防衛できずに、Demiseをレイヤー0へ逃してしまった結果だ】

『その”資格保有者”ってのは、俺とかジュウザブロウさん、アスカのことですよね』

【そうだ。説明が不足していてすまないな。”資格保有者”はレイヤースペースに降り立ち、Demiseと戦うことができる人間を指す。”資格者”、”クアラフィア”なんて言い方もする】

『日本以外の海外のDemiseもジュウザブロウさんたちが遠征して倒しているんですか?』

【あっはっはっは。流石にそれは違うよ。世界にも我々と同じような”資格保有者”がいて、そいつらがDemiseと戦ってくれているんだ。俺たちは日本の代表って感じだ】

『世界を飛び回っているのかと思いましたよ。レイヤー0へ到達したDemiseはそのあとどこへ?』

【Demiseは力を使い果たすまでレイヤー0に留まる。力を使い果たしたあとは、再度レイヤーを上がり、力を充填じゅうてんしてから別の標的のところへ行くんだ】

『なるほど……。爆発事故の規模の大小は、レイヤー0に到達されるまでに、どれだけDemiseの力を削っていたかなんですね……』


 少しずつ話が見えてきた。

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