第217話 結果オーライ。

―――B班


 突如現れた刃の正体はイツキさんの大剣だった。俺の突き、アスカとハルヒの射撃によって判断が鈍ったウィンクルムは、背後から迫るイツキさんにまで意識が向かなかったようだ。地響きのような低音の断末魔を上げると砂状さじょうに崩れていった。


【ふぅー……。なんとか倒せたか……】


 イツキさんはひたいの汗を拭いながら言っている。


『いや、危なかったですよ! イツキさん!』

【まぁ、いいじゃないの。勝てたのだから】

『アスカ、俺は巻き込まれて死ぬかもしれなかったんだぞ……?』

【結果的に死んでないでしょう? それでいいじゃない】

『むう……』


 納得できなかったが、その場では自分の思いをしまっておくことにした。


『そういや、ハルヒ。ハルヒも武器を持ってたんだな』

【そうなんですよ。一応オイラとエンジはサポート班ですけど、ミチヤさんに作ってもらったんすよ。拳銃型の武器で、放燐ホウリンがしやすいようにできているんですって。実戦で使うのは、ぶっちゃけ今日が初めてッス】

『危なかったけど、ファインプレーだったぞ!』


 わしゃわしゃと頭を撫で回してやった。


【あんまりゆっくりしてられないぞ。次はジュウザブロウさんのところに行かなくてはならない】

【えぇ、そうね。あのデカイのがジュウザブロウさんを連れて行った場所は、倒壊した建物を辿っていけば良さそうね】

『急ごう!』


 俺たちはジュウザブロウさんの元へと急いだ。

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