第175話 反撃。

 俺は建物の3階に身をひそめていたので、直撃は避けられた。


『あいつ……。俺を殺す気かよ……!』


 ”命”を賭けた戦いだが、つい口に出てしまった。斬られた建物は徐々に崩れている。俺がいるこの家も例外ではない。あの斬撃の攻撃範囲は10mくらいだろうか。結構な建物が斬撃の被害にっているようだ。


【チッ……。近くにはいなかったか……】


 ジンが動き出した瞬間に、俺は背後から襲いかかった。ジンはあらかじめ知っていたかのように瞬時に対応した。


『ッ!!』

【甘いですよ、ヒカルさん!】


 俺の攻撃を弾き返すと、再び斬撃の嵐が襲ってきた。防御に徹するが、黙って受け続けている訳にもいかない。この斬撃には全く隙がないこともない。タイミングを合わせれば、反撃も可能だ。様子をうかがい、その時を待つ。


『……今だッ!』


 一気に距離を詰める。が、これもジンには読まれているようだった。わざと隙を作り出していたのかもしれない。


 刃が迫る。


 思考が止まる。


 ”死”


 俺のすべての細胞が騒ぎ始めた。


『うぉぁぁぁあああっ!!』


 シャルを分断し、右手に持つシャルで刃を受け止める。


【な、なんですか! それは!?】


 ジンにとっては、シャルの分断は初見だ。俺の叫びと、シャルの分断に動揺したのか、ジンの動きが鈍った。その隙に、残った左手に持つシャルでジンの脇腹を叩いた。ジンは吹っ飛び、近くの建物へと突っ込んだ。

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