第176話 連撃。

 ジンが突っ込んだ建物から土煙が上がっている。俺が近づくと、フラフラと立ち上がるジンの姿が見えた。


【いっつ……】

『ジン、感謝するよ』

【ふっ……。早くも勝利宣言ですか…?】

『申し訳ないが、負ける気がしないね』


 俺には全てが見えていた。ジンの動き、攻撃範囲、何を考えているのか。もちろん、俺の勝利も。


【やってみなくちゃ……。わからないでしょうッ!!】


 ジンが迫る。次の攻撃は袈裟斬けさぎり。そして、斬り返し。俺は後ろへ飛び、距離を取った。距離を取っている間に、ジンは居合斬いあいぎりの構えを整えていた。俺が動き出す瞬間に、横に刀を振り斬撃を放った。俺は飛び上がり回避した。それに合わせ、今度は縦に刀を振り斬撃を飛ばす。


【空中なら、避けられないですよね!】


 一瞬のうちの連撃。見事だ。しかし、おとなしく攻撃を受けるわけにはいかない。分断していたシャルを再び接合する。そして、シャルを伸ばし、地面へと突き刺した。シャルを軸に体を振り、斬撃の回避に成功した。


【そんなっ!?】


 シャルの長さを戻し、地上へと着地した。


『さぁ、今度は俺の番だ……!』


 俺は距離を詰め、攻撃を放つ。狙うべき場所が淡く光って見える。右手、腹部、左肩、右肩、右太腿ふともも……。順番に攻撃する。ジンは体勢を崩し、ついに倒れた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る