第240話 深夜、午前3時。

 8月194日……


 深夜、午前3時。目が覚めた。


『家に帰ったのが18時くらいだったから……』


 爆睡していたことは間違いない。顔を洗って、ヨーグルトを食べ、軽い食事を終わらせる。今からまた寝るのもなんだ。悩んだが、レイヤースペースに行って体を動かすことにした。


 もちろん誰もいない。シャルを手に取り、外に出る。軽く振り回し、手に馴染ませる。


『ふぅ……』


 一息つくと、後ろから声がした。


【あれ? ヒカルか……?】


 振り返ると、イツキさんがいた。


『イツキさん! こんな時間にどうしたんですか?』

【それはこっちのセリフだよ。僕はこの時間にこっちにいることが多いんだ】

『え!? そうなんですか? 確かに、俺がいる昼間の時間に会うことはあんまりなかった気がするな……。俺は昨日早くに寝ちゃって、変な時間に起きてしまったんですよ』

【寝れないから、こっちに来て武器を振り回すなんて、ヒカルらしいな】


 イツキさんが笑った。


『い、いいじゃないですか! それにしても、この時間に来るっていうのはお仕事の関係とかですか……?』

【いや、仕事はしていないんだ】

『あっ……』


 聞いてはいけないことを聞いてしまった。そんな気がした。

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