第3話 疑問と回答。

 ”オリオンカフェ”の甘いコーヒーを飲んで待つこと15分。ショーマが店に入ってきた。手を挙げると、すぐに気づいてこっちに来た。


「めっっっちゃ暑くね?」

『そらそうよ。38℃とかあるらしいし』

「夏は好きだけど、暑さはしんどいなぁ〜……」


 ぐったりするショーマに疑問をぶつけてみた。


『あのさ、8月136日ってなんなんだ?』

「はぁ? 昨日が135日だったんだから、今日は136日でしょ」

『いや、だって8月って31日までじゃない?』

「んなわけないっしょ。8月は”?托シ包シ日”までだし、明日は137日だろー?」


 まただ。8月が何日までか。そこだけなぜか聞き取れない。


SONICソニックで8月が何日までか文字で送ってくれないか?』

「別にいいけど、さっきからどうしたんだ? 暑さで記憶ぶっ飛んでんのか?」


 SONICは日本中で流行しているコミュニケーションツールの一種だ。チャット機能を使って、文字で送ってもらえば聞き取れないとかないだろう。我ながら名案だ。


『あぁ、そうかもしれない』


 笑いながら答えると、通知音が鳴った。

 ショーマから来た文面を見ると……。


 読めない。


 日付の部分だけ表示が乱れていた。モザイクのような、その部分だけ画面にヒビが入っているような。とにかく文字が読めなくなっていた。スクロールしても、日付の部分だけ表示が乱れたままになっていた。


 俺はもう質問する気がなくなっていた。


『ごめん、ショーマ。体調悪くなってきたから帰るわ』

「おいおい、大丈夫か? 暑いから、水分補給して、横になっておくんだぞ」


 ショーマの言葉を背に受けながら、俺は店を後にした。


 家に帰ると、ベッドに倒れ込んだ。着替える気力はもはや残っておらず、気がつくと眠っていた。

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