第111話 貯金と影響。

 8月152日……


『今日も訓練といくか』


 いつ戦いがあってもいいように訓練はおこたらない。それが”資格保有者”となった俺のやるべきことだろう。


 レイヤー2に行き、シャルを手に持つ。棒術の基本はもちろん、シャルの伸縮も使いこなせてきた気がする。あとは自分自身の動き。必要なのは体力と反射神経。どちらも一朝一夕で手に入るものじゃない。俺の体力は部活時代の貯金でなんとかやっているだけだから、もう一度鍛え直さないといけない。昔を思い出しながら、当時の練習メニューをこなしていく。走り込みや筋トレを繰り返し、身体にムチ打った。疲れて、地面に座っていると、声をかけられた。


【おう、今日も訓練に精が出るな】

『あ、ジュウザブロウさん、おはようございます。ジュウザブロウさんも訓練に……?』

【あぁ、それも目的の1つだ。あとは、昨日のニュースで見た、ロシアの一件が気になってな】

『それ、俺も見ました。自分で確認できる範囲で日付を確認しましたが、どれも変化はなさそうでしたね』

【ヒカルも見たか。オレの方でも確認したが、変化はなさそうだったな。ただ、レイヤースペースに変化が出ることもあるんだ】

『レイヤースペースに変化……?』

【例えば、空の色が違う、空間に歪みがある、霧が出ている等々……。発生する事象は様々だ。パッと見たところは問題なさそうだが、一通り見て回ろうと思ってる】

『そんなことがあるんですね。俺も周囲を確認して、おかしなところがないか見ておきます』

【ありがとう。助かるよ】


 そう言うと、ジュウザブロウさんは軽々と飛び去った。

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