第284話 過大評価。

『うらァァァッ!!』


 俺は突きを放った。デゼスプワールはそれを軽く避ける。俺は追いかけ、更に攻撃を浴びせる。しかし、デゼスプワールを捉えることはできなかった。


『……くっ!』

〈そんなもんじゃないだろう?〉

『……ったりめぇだ!』


 俺は愚直に攻撃を続ける。その攻撃がデゼスプワールに届くことはなかった。


『はぁ……はぁ……』

〈少々、君を買いかぶりすぎたかもしれないね……。少し試させてもらおう〉


 デゼスプワールが手を振ると、周囲に見えていた外の景色が変わった。仲間をズームしたような画面が広がった。


『……!?』

〈まず1人……〉


 巨大な手がイツキさんを襲う。イツキさんの立つ地面をまるごとすくい上げ、上空へ放り投げた。空中でバランスを取ろうとするイツキさんに容赦なく拳が襲いかかる。イツキさんは彼方へと吹き飛んでいった。


『イツキさんっ!!』

〈人には怒りや悲しみによって力を発揮するという事象が……〉


 俺は思わずデゼスプワールを殴っていた。

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