第67話 無頼。

 目の前に現れたそれは、人間だった。


【よぉ、テメェは何者だ……?】


 地面に座り込む俺に剣を突きつけ、尋ねてきた。友好的な雰囲気ではない。


『お、俺は最近こっちに来るようになった者だ! お前こそ何者だ!』


 睨み合いが続いた。


『ジュウザブロウさんかアスカから、なにか聞いたりしてないのか……?』


 そう聞くと、男は剣を下げた。


【確かにザブロウかアスカが新しい『資格保有者』がどうとか言ってた気がするな】


 俺は立ち上がって、名前を名乗った。


『俺は四季島シキシマヒカルだ。Demiseデミスと戦うために、ここにいる』


 男もそれに応えた。


【オレは神々谷院コウゴウヤイングレンだ。新手のDemiseかと思って剣を向けちまった。すまねぇな】


 握手を交わす。


【オレは基本的に夜行性なんだが、テメェは運が悪かったようだな】


 グレンは笑いながら話した。


【こっち来てどのくらいなんだ?】

『まだ3日目……とかかな』


 グレンは少し考え、こう言った。


【じゃあ、実戦もまだだよなぁ?】


 グレンの口角が、怪しく上がった。

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