第68話 急襲。

『え……。そ、それは……』

【今、2人の手には武器が握られている。そしてテメェはまだ実戦未経験だ。これはいい経験になると思うぞ?】

『……練習試合をするってことですか?』

【練習試合じゃねぇ。実戦だ】


 そう言うと、グレンの剣が光り始めた。瞬時に俺もシャルに力を込めた。 俺は一度距離を取ろうと後ろへ飛んだ。

 相手は近接武器の剣。俺のシャルは伸縮も可能だから、距離を取るのが正解だろう。本能が答えを導き出した。

 着地をし、グレンの位置を確認する。が、さっきまでいた場所に姿はなかった。


【こっちだよ……!】


 振り返ると、俺の後ろにグレンはいた。グレンは容赦ようしゃなく剣を振ってきた。体を反らせ、なんとか避ける。こちらも攻撃を仕掛けてみるが、あっさりと避けられた。遠くで余裕そうにするグレンを前に、構え直し、呼吸を整える。

 グレンが動き出した。その動きを予測し、シャルを突きながら伸ばす。 俺が横に振り抜こうとすれば、グレンはジャンプして避けるだろう。ならば、横に振るように見せかけ、上に振り上げる。そうすれば、飛び上がったグレンに一撃与えられる。それだけを信じ、力を込めた。


『うぉぉぉ!』


 俺がシャルを横に振るような仕草をすると、グレンは瞬時に反応し、飛び上がった。


 予想通り。


 俺は一気にシャルを振り上げた。

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