第186話 終焉。

〈そうか。この”言語”で話をさせてもらおう。何分なにぶん、不慣れなものだから、大目に見てもらえると助かる〉


 Demiseデミスが俺たちと対話を求めているのか……?


【あぁ、かまわない。もう一度問おう。君たちは何者なんだ?】

〈私たちは、君たちの言うDemiseというものだ〉

【やっぱりDemiseか。やるか? ザブロウ?】

【まぁ、待て。グレン。こうやって話が出来るってことは、意志の疎通そつうが可能だと思うんだ】


 そう言いながら、Demiseの動きを観察する。


〈他の国ではMONSTERモンスターNemicoネミコと呼ばれていたが、君たちの呼び名であるDemiseが一番気に入っていた。流石は私が選んだ者たちだ〉


 Demiseは話し始めた。


【”選んだ者たち”……だと……?】

〈私はこの地球の”負の感情”をかてに力を得ている。そして、その感情たちが出した答えは”世界の終焉しゅうえん”だ〉

【答えって、その”負の感情”とかいうモノにアンケートでもしたのかよ】

〈ふふっ。面白いことを言う。私は彼らの感情を体内へと取り込んでいる。つまり、全ての答えを私は知ることができるのだ。アンケートをする必要などない〉

【真面目に答えてくれてありがとよ】


 Demiseからの回答に、不機嫌そうにグレンは言い放った。


〈私が世界中に送り込んだDemiseにあらがう姿を見て感動を覚えたよ。本来なら邪魔をされることはないはずだったんだが、厄介者が手を出してきたようだ。まぁ、それも私が楽しむ時間を増やしただけだがな〉

『厄介者……?』

〈厄介者の存在も、もうすぐ消えるだろう。世界中に増殖していた”時を超越した戦士”の中でも、日本の君たちが”終焉”である私と戦う資格があると判断した〉

【結局は戦う必要があるってことなんですね……】


 ミチヤは残念そうにつぶやいた。


【絶対に戦わなくてはならないのか?】

〈あぁ、絶対だ。君たちが敗北すれば、世界中にDemiseを送り込む。数日の内に、静かに、緩やかに、穏やかに、おごそかに、終焉を迎えるだろう〉

【ワタシたちに全てがかかってるってことね】

【めっちゃ責任重大やんけ】


 やっぱり戦わなくてはならないのか。俺はつばを飲み込んだ。

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