第286話 地上。

―――地上


【イツキッ!!】

【イツキさん!!】


 みんなが叫ぶ。イツキがオレの後ろへと吹っ飛んでいった。


【ちくしょう……!】


 ヒカルが上に登ってから攻撃が激しくなっている気がする。上で何をしてやがる。考えている間にも、拳が降り注ぐ。コイツらに体力って概念があるようには思えない。持久戦になったら確実にオレたちが負ける。


【ザブロウ! オレも上に行く!】

【わかった! とりあえず下はオレたちに任せてくれ!】


 よじ登るタイミングを図る。1本の腕に狙いを定め、地上に拳を叩きつける瞬間を待つ。


【グレンさん!】


 ジンの声に気づいたときには、真横に拳が迫っていた。オレとしたことが、他の腕からの攻撃に気づかなかったとは。できそうなことを一瞬で思いついたが、どれも妙案とは言えない。ダメ元で体をらせた。すると、拳は俺の上を通っていった。


【はぁ……はぁ……。グレンさん……大丈夫ですか……?】

【あぁ、なんとかな……。ジンがやってくれたのか? 助かったよ】

【間に合ってよかった……。助けてもらってばかりですからね。これでチャラになったとは言えませんが】

【チャラにしても良いくらいのナイスプレーだぜ、ジン】


 ジンの頭をくしゃくしゃと撫でていると、狙っていた腕が飛んできた。


【ジン、避けろ!】

【はい!】


 オレとジンがいた場所に拳が突き刺さる。オレは腕に飛びつき、剣を突き刺した。指先に粒子集中りゅうししゅうちゅうをすると、一気に登った。

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