第26話 壊れた日常。

 辿り着いた先は、やはり駅前だった。


『……ッ!! なんだよ……これ……!?』


 駅前に着くと、広場がぐしゃぐしゃに破壊されていた。驚く俺に、アスカは冷静に言った。


【大丈夫よ】


 なにが大丈夫だ、こんな状態で大丈夫な訳ないだろう! 心の中で叫んだが、声にならなかった。


 轟音が目の前で鳴り響き、突風が吹いた。その音は”オリオンカフェ”が破壊された音だった。


 俺の視界がボヤけ、足元がふらついた。音や風のせいではない。自分の日常が、自分の好きなものが目の前で破壊されていることへのショックが原因だ。

 こんなことは初めてだった。


【大丈夫だから、安心して】


 しきりに大丈夫というアスカに苛立いらだちを覚えたが、苛立ちをぶつけるような余裕はなかった。壊れた”オリオンカフェ”から瓦礫がれきが崩れる音と、何かがうごめく音が聞こえた。


 そこから出てきたのは、異形いぎょうの生物だった。

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