第27話 本能の叫び。

 異形いぎょうの生物……。いや、生物と言っていいのかわからないモノだった。

 球体に大きな人の目のようなモノが1つ埋め込まれ、目の反対の、人間で言う後頭部には鋭利なトゲが無数に生えている。大きさは2メートル、いや、3メートルはあるだろうか。離れているから大きさがよくわからない。もっと大きいようにも思える。

 さっきまで驚きでいっぱいだった頭が、今度は恐怖で染まった。足が震え、声も出ない。今すぐ逃げ出したい。そんな気持ちしかなかった。

 異形の生物の目がギロリとこちらを見た。


 獲物を見つけた。


 そういう目で見ていると本能が察した。アスカがかばうように俺の前に立った。情けないが、男とか女とか、かっこ悪いとか何だとか、考えることはできず、俺はアスカの後ろに身を隠した。


 異形の生物がゆっくりと動き出した。

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