第181話 不吉の予兆。

【2人ともありがとう。まぁ、こんなこともあるさ。あんまり気にするなよ】


 エンジとハルヒは頭を下げると帰って行った。


『レイヤー0は予報が外れて大雨。何か悪いことの前触れじゃなければいいんですけどね……』

【ヒカル、あまり不吉なこと言わないほうがいいぞ】

『あっ、すみません……。つい……』

【まぁ、前回のDemiseデミス以上のやつなんか、そうそう来るもんじゃないだろう。こっちには天下のヒカル様がいらっしゃいますからね】


 ニヤリとしながら、俺を見た。


『や、やめてくださいよ……。じゃ、じゃあ、俺はちょっと訓練に行くので、失礼します』

【おう。期待してんぞ】


 俺は逃げるようにその場から移動した。以前の戦いを思い出しながら”覚醒”をこころみる。深く深呼吸をし、集中する。


 …


 が、そう簡単には上手くいかなかった。体が震えるほど、鮮明に思い出すも、一向に”覚醒”へと近づくことはできなかった。


『ふぅ……。今日はこのぐらいにしておくか……』


 俺は家路についた。


 レイヤー0へと戻った。外はまだ雨が降っている。テレビを点け、ニュース番組にチャンネルを合わせる。


『そういえば、最近は爆発事故の話を見ないな……』


 良いことなのだろうが、なにか引っかかるものがある。イツキさんの言葉を思い出し、不吉なことは考えるのを止めた。天気予報によると、明日は晴れらしい。カップ麺を食べ、風呂に入り、ベッドに横になった。気づいたら、俺は眠っていた。

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