第158話 失念。

 俺は再び戦場へと舞い戻った。


『すみません! 戻ってきました!』

【ヒカルくん、大丈夫なの!?】

『あぁ、オトハちゃんに回復してもらったから、大丈夫だ』


 心なしかDemiseデミスの動きが活発になり、俊敏しゅんびんになっている気がする。


【こいつ、はようなっとる!】

【あぁ、回復力も格段に上がっているな……!】


 気のせいではないようだ。俺が攻撃した足も、ほとんど無傷のような状態になっていた。やはり、”コア”を狙って一気にケリをつけるしか無さそうだ。


『俺とリオンさんが引きつけて、その間にジュウザブロウさんが”コア”を狙う。どうですか?』

【えぇアイデアや、ヒカル!】

【わかったわ!】

【みんな! 任せたぞ!】


 ジュウザブロウさんと入れ替わり、Demiseを相手にする。Demiseが体勢を低くしたおかげで、”コア”である眉間を狙うのが容易になっていた。ジュウザブロウさんは”コア”を狙いやすい位置に移動し、一気に距離を詰めた。あとは目の前にある”コア”を貫くだけ。


【うォォらァァァ!!!】


 拳に力を込め、振り上げる。Demiseの腕は俺とリオンさんで抑えている。問題ない。そう思っていた。俺たちは忘れていたんだ。戦っている相手が、Demiseという未知の存在であることを。

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