第159話 壊滅。

 "コア"へ近づくジュウザブロウさんを見上げていると、Demiseデミスの鎖骨のあたりが動いたように見えた。次の瞬間、鎖骨のあたりから小さな腕が生え、ジュウザブロウさんを攻撃した。攻撃態勢に入っていたジュウザブロウさんは攻撃を避けることができなかった。攻撃を受けたジュウザブロウさんは吹っ飛び、数多あまたの建物を壊していった。激しい破壊音が鳴り止むと、今度は建物が崩れていく音が鳴り始めた。


【ジュウザブロウさん!!】

『ジュウザブロウさん!!』


 オトハちゃんがジュウザブロウさんの元に向かっているのを確認できた。邪魔をさせるわけにはいかない。再度、Demiseと向き合った。


【クソがぁ!!】


 リオンさんは動き回り、Demiseを翻弄する。Demiseに短剣を突き刺し、そこを起点に上へと登っていく。リオンさんがDemiseの肩に辿り着くと、そこに待っていたのはジュウザブロウさんを吹っ飛ばした腕だった。リオンさんに反応し、攻撃を仕掛けてくる。それを上手く回避し、2本ある腕のうちの1本を切断すると距離を詰める。しかし、切断した腕が高速で再生し、もう一度攻撃をしてきた。


【……ッ!!】


 リオンさんは咄嗟とっさに体をひねるが、攻撃を回避することはできなかった。なんとか左腕で防御をするが、吹き飛ばされ、街の中へと落ちていった。


『リオンさん!』

【なんて強さなの……。今までとは桁違いだわ……】

『こんなの、勝てるわけが……』


 言い切る前に言うのを止めた。口に出してはダメだ。どうする、どうすればいい……!?


【きゃあっ!】


 俺が少し考えている間にアスカが攻撃を喰らっていた。


『アスカ!』


 アスカは吹き飛び倒れたが、すぐに立ち上がっていた。幸い、直撃は免れたようで、ダメージは少ないようだ。だが、このまま戦闘を続けさせるわけにはいかない。Demiseが見えない位置までアスカを移動させる。


『アスカ、動けるようになるまで少し離れた位置で待機するんだ。動けるようになったらリオンさんの回収。そして、ジュウザブロウさんの元へ行くんだ』

【ヒ……ヒカル……くん……は……?】

『俺は……。俺は一人で戦う』

【無理よ……絶対に勝てな……】


 俺は手でアスカの口を塞いだ。首を横に振り、俺の言いたいことを伝えた。


『……じゃあ、俺は行くから』


 アスカは不安そうな顔をしていた。その顔を直視することができなかった。俺は振り返らず戦場へと急いだ。

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