第137話 仲間がいる。

 8月163日……


 昨日は帰ってから頭を冷やした。油断すると、すぐに心配性が顔を出してきやがる。


 仲間がいる。


 みんなの言う通りだ。散々、野球っていう団体競技をやってきたのに、未だに『仲間』ってモノがわかっていないとは、我ながらあきれてしまう。誰かがエラーをしても、仲間がフォローすればいい。投手が打たれてしまっても、打者がその分取り返せばいい。それだけの話だ。

 強い人というのは、漏れなく仲間を大事にしている気がする。1日かかって頭の中を整理し終え、俺は外に出た。


 コンビニでアイスを買い、駅前のベンチに腰掛け、買ったばかりのアイスを頬張ほおばる。木の棒に、かき氷を長方形に固めたようなアイスだ。安くて美味しい、昔からお馴染みの商品だ。

 今日も太陽は俺たちを熱く照らしている。


『やっぱり、暑い中で食べるアイスは格別だな……』

【そうだな、ヒカル】


 俺のつぶやきに反応する声が聞こえた。

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