第254話 思い出す。

 8月198日……


 今日はレイヤースペースに行くことにした。昼頃からウォーミングアップして、戦いの感覚を取り戻す。偶然、ジンも来ていたので、手合わせをしてもらった。手合わせといっても、前にイツキさんとやり合ったような激しいものではない。大切な戦いを目の前にして、怪我けがなんてしたら大事おおごとだ。互いに改善点を出し合いながら、動きを確認していた。その様子をミチヤに用事があったらしいカイユウが見つめていた。ビルの屋上では、今日もリオンさんが絵を描いているようだった。


 …


 夕方になると、ジンが帰って行った。俺も同じタイミングで帰ることにした。


 家に着き、シャワーを浴びる。さっぱりして、ベッドの上で仰向けになる。目をつぶり、過去の戦いを思い出した。


 8月の異変に気づいたときのこと……。

 アスカとの出会い……。

 初めてレイヤースペースに行ったときのこと……。

 初めての戦い……。

 みんなとの手合わせ……。

 Demiseデミスとの1対1での戦い……。

 巨大なDemiseとの死闘……。

 絶望と覚醒……。

 そして、”完成型”との対峙……。


 本当によくやってきたものだ。自分で自分を褒めてあげたい。俺がおかしな8月に気づいてから約60日。あっという間だった。


 思い出にふけりながら、1日を終えた。

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