第244話 予測の予測。

 イツキさんは後方に吹き飛び、建物へと突っ込んだ。俺は地面に落ちたシャルの片割れを拾い、イツキさんのいる建物へと走った。建物は倒壊し、土煙を上げている。おそらく、イツキさんはもうここにはいないだろう。建物の下敷きになっていると思わせ、不意打ちを狙っているはずだ。……と、俺が思っているのを予測しているだろう。つまりはその逆。この倒壊した建物に隠れているのだろう。


『どこから来る……』


 俺は一応前方と後方の両方を警戒しながら、イツキさんの反応を待った。その時、建物の一部が爆発した。俺の意識が一瞬そちらに向いた。それは放燐ホウリンによる遠隔爆破であることに気づいたときには、後ろからイツキさんが迫っていた。俺は瞬間的にシャルを結合させ、左脇の下からシャルを伸ばし、背後のイツキさんを狙った。大剣を大きく振りかぶったイツキさんの姿が視界の端に映っていた。

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