　あの後、カイユウに簡単に治療してもらった。そして、みんなに叱（しか）られながら、俺は帰宅した。

　部屋に戻ってから、”覚醒”の感覚を思い出していた。あの力が無限に湧き上がるような。全てを支配できるかのような。敗北を考えられなくなるような。絶対的な力を得た状態。

『思った通り、やはり”覚醒”の力は絶大だ。ただ、これを使いこなすのは至難（しなん）の業（わざ）だ。毎回殺されかけるのも、現実的ではないし……』

　色々考えたが、通常状態をなんとか”覚醒”状態の感覚に近づけるように日々訓練するしかないんじゃないかという結論に行き着いた。

　Demise（デミス）との戦いを。ジンと戦いを。俺は脳裏（のうり）に焼き付けた。

『あの瞬間を思い描けば、もしかしたら……』

　今すぐ試したい気持ちが強かったが、今日はもう寝ることにした。

　8月175日……

　今日は珍しく雨だ。予報では晴れだったはずなんだけど、急に変わったらしい。まぁ、暑い日ばかりだから、たまにはこんな日も悪くない。そういえば、雨の日はレイヤースペースも雨なのだろうか。向こうでは天候なんて気にしたことがなかったな。”覚醒”のこともあるし、レイヤースペースに行くことにした。

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