第237話 最高のサポート。

 8月193日……


 昨日は早めに寝て、体がだいぶ休まった。”異次元”のラーメンを食べられた満足感のおかげもあるかもしれない。この世界が終わるまでに、みんなと改めて話をしておきたい。そう思っていた。今日はレイヤースペースへと足を伸ばしてみよう。


 ベースへと向かう。ベースの中を見ると、ミチヤが作業しているようだ。


『おはよう、ミチヤ』

【あっ、ヒカル! おはよう!】

『武器のメンテナンスか?』

【うん。もうすぐで最後の戦いだからね……。僕のできることは、これくらいだから……】

『”これくらい”って言うけど、これが最高のサポートなんだぜ。もっと自信を持っていいんだよ』

【ありがとう。ここでの経験が持って帰れたらなぁ……】

『俺もそう思うよ。何ものにもがたい、貴重な経験だしな』

【普通はあんな怪物と戦うことなんてないもんね】


 2人で笑った。ふと、部屋の隅に布が被せてあるモノが目に入った。


『ミチヤ、アレ……なんだ?』

【あぁ、アレはいわゆる失敗作ってやつだよ。みんなの武器を作るまでにいろいろ試行錯誤した”証”って感じだね。外に放り捨てるのも気が引けて、あそこに置かせてもらっているんです】

『当たり前だけど、全部1発で創った訳じゃ無いんだよな。本当に感謝するよ』

【そんな感謝なんていいんだよ。創作するっていうのは、自分のためでもあるからね。こっちこそ感謝したいくらいだよ】

『感謝を言えるときに言っておかないとな。武器の方、よろしく頼むよ』

【任せといて!】


 自信たっぷりに返事をしてくれた。


『あ、そういえば、誰かこっちに来てる人って見たか?』

【うーんと……。あ! リオンさんを見かけたよ。30分前とかだから、まだいると思うけど……】

『ありがとう。ちょっと探してみるよ』

【いってらっしゃーい】


 ミチヤに見送られながら、リオンさんを探しに出た。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る