第122話 ご褒美をかけた死闘。

『今からでも大丈夫か?』

【軽くストレッチしてからでいい?】

『わかった。アスカの準備が整ったら声をかけてくれ。俺の方はいつでも問題ないからさ』


 準備体操をしつつ、アスカを待った。10分後、アスカの準備ができたようだ。


【ヒカルくん、お待たせ。準備ができたわ】

『よし。そしたら、手合わせをお願いする』

【ふふっ。お手柔らかにね】


 頭を下げ、握手をした。


『ルールを決めておこう。戦う場所はこの街全体とする。ベース以外だったら隠れたりしての良いこととする。スタートの合図は俺がする。コインを投げて、落ちた瞬間がスタートだ。戦闘時間は最長30分。俺はアスカからの攻撃を耐えしのぐことができたら勝ち。アスカは俺を動けなくすれば勝ちだ。これでどうだ?』

【わかったわ。それで行きましょう。勝ったら、なにかご褒美でもあるのかしら?】

『ご褒美ねぇ……。敗者は勝者にジュース1本を献上けんじょうする。これでいいだろう?』

【ジュース1本をかけた死闘ね……。面白いわ】

『それじゃ、始めるか』


 駅前から少し離れた場所に移動し、距離を取って対峙する。距離は25メートル程度だろうか。


『コインを投げるぞー!』


 アスカは手を上げて了承を示した。指でコインを弾く。空中でくるくると回転するコイン。スロー再生されているかのように、ゆっくりと回転しているように見える。今ならコインに書いてある文字だって読めそうだ。

 2人の視線がコインに集まる。


 落下まで、あと数秒。


 …


 キーン……ッ!


 コインの落下音が響いた。

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