第86話 やさしいDemise講座 6限目

『ア、アスカさん? 落ち着こうよ……』


 焦る俺を尻目に、石を上げてはキャッチするを繰り返している。


【大丈夫よ。ちゃんと纏陣テンジンができていればね】

『くっそー……。怪我したら慰謝料払ってもらうからなー!』


 気合をいれて纏陣を行う。


【行くわよ……!】


 俺は顔の前に腕を交差させ、投石に備えた。交差させた腕の奥に、アスカが石を投げる姿が見えた。目をつぶり、集中する。

 体に衝撃が走った。石はお腹の部分に当たったようだが、痛みは無い。


【どうかしら?】


 交差した腕を解き、当たった部分をさすってみる。もちろん血なんかも出ていない。


『すげぇよ……。全く痛くない……』

【しっかり纏陣ができていたみたいね。戦闘中は基本的に纏陣を行って、防御は固めておくこと。わかったわね?】

『あぁ。これは必須だな』

【じゃあ、次に行くわ。2つ目は集功シュウコウ。これは纏陣と違って、1箇所に力を集中させること。ワタシがヒカルくんに行ったマッサージがあるでしょ? あのときに行っていたのが集功よ】

『あのポカポカするようなアレか』

【そう。自然治癒力の増強させて、回復をさせる使い方。他には纏陣よりも強固な防御が可能になるわ。纏陣と集功の両立は難しいから、使うタイミングは難しいわ。例えば相手の攻撃を集功で弾いて接近するとか、相手の攻撃を受け止めたりなんてことが可能になるわ】


 数日前のグレンとの戦いを思い出した。あれほど簡単にシャルを受け流したのは、集功を使っていたのかもしれない。


【ヒカルくん? 大丈夫?】

『……あぁ、すまん。少し考え事をしていたんだ』

【ならいいけど。あとは攻撃にも使える。手や足で集功を行って叩く、もしくは自分の武器に集功を行って叩く。どちらも有効よ】

『なるほど。訓練初日にジュウザブロウさんが見せてくれた、壁を壊すってのも集功の1種か』

【えぇ、そうね。次が最後の3つ目よ】

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