第51話 激高。

 走って駅前へ向かった。駅前に着くと、ショーマとレンが待っていた。


「遅い!!」


 ショーマの怒りは継続しているようだった。


「まぁまぁ、ご飯でも食べながらお話しよーよ。ヒカルくんはご飯まだだよね?」


 レンがなだめる。


『あ、あぁ。ちょうどお腹が空いてたとこだ』

「なにかリクエストはあるかな?」

『中華料理かな。チャーハン食べたくてな』


 レンの目が光った。


「じゃあ、こっち! ついてきて!」


 早くも店を決めたようだ。ショーマと俺は無言のままついて行く。


「到着!」


 駅前からすぐ近くの小綺麗な中華料理屋だ。


『こんな店あったのか……』


 さすがレンだなと感心しながら店に入る。入店して、注文を終えると、ショーマが口を開いた。


「あの女は何者だ……?」

『……は?』


 俺はドキッとした。おそらくアスカのことだろうが、どこで見られた……? 昨日の帰りか……?


「今日、ヒカルの部屋から出てきた女の子のことだよ!!」


 机を叩きながら、大声で叫んだ。周りの客も俺も驚いていた。


「ショーマくん、声が大きいよ!」


 レンがショーマを抑える。俺が固まっていると、ショーマは話を続けた。


「今日、ヒカルから反応なくて、心配だったからヒカルの家の前まで行ったんだよ。そしたらヒカルの部屋から女の子が出てくるのが見えたんだ……」

『そ、それは……』


 確かにあのマンションの構造上、外から部屋のドアが見えるようになっている。

 ……やばい! Demiseデミスのこととか、レイヤースペースのこととか、ショーマたちに話すことはできないし、アスカとの関係はなんて言ったら……。そうだ。


『落ち着いてくれ、ショーマ。あの子は上の階に住んでる子でさ……。この前、ごみ捨てするときに鍵を忘れてたらしくて、偶然通りがかった俺がオートロックを開けてあげたんだ。今日はそのお礼にってお昼ご飯を持ってきてくれたんだ』


 我ながら上手いこと話を作れた気がする。どうだ……? 俺はショーマの様子をうかがった。

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