第227話 救出。

【見えた……!】

【あそこね……。体育館かしら?】


 ついに辿り着いた。大きく穴が開いている。そこから、スペランツァの姿が見えた。腕を振り上げようとしていた。その様子を見てか、ジンは体育館へと飛び込んだ。ジュウザブロウさんの雄叫びが聞こえる。それと同時にジンの斬撃がスペランツァの右腕を斬り落とした。


『ジュウザブロウさん!!』


 俺が声を上げると、ジュウザブロウさんはこちらに気づいたようだ。スペランツァは腕を斬られ、バランスを崩していた。


【リオンさんとジンくんでジュウザブロウさんを外に運び出してくれ。運び出したあとはオトハちゃんに治療をお願いする。エンジ、ハルヒ。スペランツァの”コア”の場所を探し出してくれ。僕とヒカルとアスカはスペランツァをなんとかする。いいな?】


 イツキさんの迅速な指示に全員がうなずき、それぞれ行動を開始する。


 スペランツァの目の前に立つ。デカい……。ジュウザブロウさんはこれを一人で相手にしてたのか。


【ヒカル! ほうけてるんじゃない!】

『す、すみません!』

【さっさと終わらせましょう】


 イツキさんに喝を入れられながら武器を構える。突きを放つも効果は薄いようだ。スペランツァは左腕を振り回す。右腕の再生は遅いのか、できないのか。なんにせよ、これはチャンスだ。気をつけるべきなのは両肩の突起か。あれに刺されたらひとたまりもないないだろう。俺が考えている間にアスカの射撃がスペランツァに突き刺さった。


【みなさん、そいつの両肩に注意してください! 強烈な光を放つようです!】


 エンジの声が聞こえた。あわく光っている気がする。イツキさんが大剣を振るうが、左腕に弾かれた。次の瞬間、スペランツァの両肩が光を放った。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る