第144話 少年のような姿。

 近くのマンションの屋上へと上った。


『見えた……!』


 相手のDemiseデミスは俺が戦ったのと同じくらいの大きさに見える。イツキさんは、手に持った大剣の重さを感じさせない動きをしていた。その姿は、まるでその辺の木の枝を拾って走り回る少年のようだった。

 少年……もといイツキさんはDemiseの腕を攻撃し、動きをにぶらせた。鈍っている隙にDemiseの上に立つと、”コア”である角を破壊した。すると、Demiseは砂のような姿へと変貌へんぼうしていった。イツキさんの勝利を見届けると、俺はみんなの元へと戻った。


【ヒカルくん、お疲れ様。どこかへ行っていたの?】

『アスカもお疲れ様。イツキさんの姿が見えるところまで行っててな……』

【イツキさん、戦闘終了です】


 エンジの声が聞こえた。ジュウザブロウさんはガッツポーズとっていた。


【よしっ! あとはイツキが帰ってくるのを待つだけだ】

【時間、動き出していますね】


 カイユウが時計を確認していた。全員がそれぞれ喜びを表していた。


【あれ、僕が最下位か……】


 歓喜の中、イツキさんが帰ってきた。


【よーし! 今回も無事に勝利だ! 大量のDemiseを相手によくやった! みんな、お疲れ様! イツキはカイユウとオトハに傷を診てもらいなさい】

【了解です。カイユウくん、オトハちゃん。お願いするよ】

【任せてください!】


 イツキさんは2人に囲まれ、全身をチェックされていた。俺たちは勝利したんだ。静かに実感していた。

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