第213話 鉄壁。

―――B班


 イツキさんが近距離。俺が中距離。アスカが遠距離。バランスを取りながら、ウィンクルムと対峙する。イツキさんが気を引いている間に攻撃のタイミングをさぐる。

 ウィンクルムは両手で長髪を引きちぎり、それを槍のように変形させた。2本の槍がイツキさんを襲った。イツキさんは慌てることなく、冷静にさばいていた。俺はその隙にウィンクルムの背後へと周り、攻撃を仕掛けた。俺の攻撃は、またもや長髪の盾によって防がれた。すぐに距離を取り、体勢を立て直す。


『クソッ! 鉄壁だな……』

【ワタシもやるわ!】


 アスカは用意していた矢を掴むと、ウィンクルムへと放った。しかし、これも盾によって防がれていた。


【オラァ!】


 このとき、イツキさんの斬撃がウィンクルムへとダメージを与えていた。


『こっちの攻撃は全くの無意味ではないようだな……!』

【このまま連続で行くわよ!】


 ウィンクルムは射撃の主を確認すると、イツキさんを盾で弾き飛ばし、こちらに顔を向けた。標的をこちらへと変更したようだ。長髪を脚の代わりにし、高速移動を始めた。一瞬のうちに俺とアスカの目の前まで移動したウィンクルムは、髪の毛の束を拳に変化させた。


『危ないっ!』


 俺はアスカを抱えて回避した。間一髪、ウィンクルムの拳はくうを切った。


【あ、ありがとう】

『やはり、本体よりもあの長髪を利用した攻撃が主力のようだな……』


 シャルを構え、粒子集中りゅうししゅうちゅうを行う。


『行くぜ……。ウィンクルム!』

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