第163話 救援。

 …


『……はっ!』


 目覚めると、そこは俺が戦っていた場所だった。崩れた建物とアスカが側にいた。


『俺は……どれだけ寝ていたんだ……?』

【おはよう、ヒカルくん。1時間くらいかしらね】

Demiseデミスはどうなった?』

【1体はヒカルくんが。もう1体はジュウザブロウさんが……】

『そうか、よかった……。流石ジュウザブロウさんだ』


 俺の反応にアスカは黙ったままだった。


『ん? どうしたんだよ?』

【なんとか倒せたんだけど……。ジュウザブロウさんが負傷してしまって……。今はカイユウくんとオトハちゃんが治療してくれているわ……】

『そんな! なにがあったんだよ!?』

【……それじゃ、ヒカルくんが眠っている間の話をしましょう】


 …


【ヒカル! 大丈夫か!?】

『ジュウザブロウ……さん……?』

【すぐにオトハが来るからな!】

【すみません、お待たせしました!】


 オトハちゃんはすぐにヒカルくんの治療を始めた。


【オトハ、リオン。2人はヒカルを頼む。アスカ、オレと一緒に行くぞ】

【わかったわ】

【わかりました。ヒカルさんは私たちに任せてください】

【ジュウザブロウさん、アスカ。そっちも気ぃつけてな……】


 リオンさんとオトハちゃんはヒカルくんの治療と護衛を。ジュウザブロウさんとワタシはもう1体のDemiseの方に向かった。


 数分後。もう1体のDemiseの元へと辿り着いた。グレンさんのチームも非常に苦戦していた。イツキさんとジンくんの2人でなんとかしのいでいて、紙一重の状態だった。グレンさんはジンくんをかばって負傷してしまい、カイユウくんが付きっきりで治療をしていた。その光景を目の当たりにしたワタシは、正直、勝利の姿を想像することはできなかった。

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