第201話 礫。

 フトゥーロは腕を振り回しながら突っ込んで行った。避けるスペースが無いため、グレンは街の奥の方へと逃げた。


〈くちのナカ……〉


 口を広げながらフトゥーロは近づく。少し開けた場所に出ると、グレンはフトゥーロの後ろへと回り込んだ。


【オラァッ!!】


 フトゥーロの脚や腕を斬りつける。リオンさんも合流し、攻撃の手数が増えた。


【腕や脚がぎょうさんあっても、当たらな意味無いで!】

〈………ェェェ…デぇぇぇぇぇぇ!!〉


 暴れまわるフトゥーロを冷静にさばく。よろめくフトゥーロは、さらなる進化を遂げようとしていた。


【くっ……! しつこいやっちゃで……!】


 振り回していた腕が地面をえぐり、つぶてとなってリオンさんを襲った。故意か偶然か、不運にも目くらましとなった礫は、リオンさんの動きをにぶらせた。


【リオンッ!!】


 グレンが叫ぶのと同時に、リオンさんの悲痛な叫びが聞こえた。その叫び声は、近くの建物の中へと消えていった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る