第228話 一難去ってまた一難。

『くっ……!』


 本当に強烈な光だった。俺はスペランツァに弾かれたイツキさんの大剣が目の前にあったおかげで、直撃はまぬがれた。目を薄く開くと、左腕を振り上げるスペランツァが見えた。


『イツキさん!!』


 俺はイツキさんに突っ込み、スペランツァからの攻撃を回避した。背後で拳が地面に叩きつけられた音が聞こえた。


【つっ……! ヒカルか? どうやら助けられたようだな】

『へへ……なんとか……』


 そう言いながら振り返ると、スペランツァは地面に叩きつけた左腕をこちらへとズラしてきていた。迫りくる拳を止めようと両腕を突っ張るが、物凄い力に押される。


『ぐぁ……くっ……!』


 足に力を入れるが、ジリジリと押されていく。次の瞬間、拳が後ろに下がった。スペランツァの拳に向かって力を入れていた俺は前のめりに倒れた。状況を理解する前に、再び拳が迫ってきた。

 俺は止められるはずもなく、イツキさんと共に吹き飛ばされた。壁に叩きつけられ、地面へと落下した。立ち上がろうとしたとき、体が宙に浮いた。全身を何かが包んでいる。


『うっ……あぁっ!!』


 体が圧迫される。

 苦しい。


 目の前にスペランツァの顔が見える。無表情と言っていいのかよくわからない面長の顔が、俺を観察するように見ていた。

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