第130話 戦いの後。

 俺が目を覚ますと、そこはベッドの上だった。とは言っても、俺の部屋ではない。左に顔を向けると、そこには女の子がいた。


【あ、目覚めましたね。アスカさん呼んできます】


 そう言うと、どこかへ走って行った。顔だけ動かして、周りを見てみる。ここはベースだ。

 次は自分の今の状況について考えてみる。


『アスカと手合わせをして、それで俺は……。負けたんだ……』


 なぜここで横になっているのかを理解した。そして俺は顔を手で覆い、歯を食いしばった。


『くそ……!』


 2人分の足音が聞こえた。


【おはよう。気分はどう?】

『ふっ……。あまり良くないな……』

【……そんなこと言うと、治療してくれたオトハちゃんが泣いちゃうわよ?】


 ハッとして起き上がると、アスカの横には泣きそうな顔をしたオトハちゃんがいた。さっきの女の子はオトハちゃんだったことに気付いた。


『オトハちゃん! 違うんだよ! 体は、ほら! この通り完全回復してるから、安心して!』


 必死に回復していることをアピールした。その姿を見て、オトハちゃんはプッと吹き出して笑った。その様子を見た俺は、胸をなでおろした。

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