第113話 戦う理由。

 2人の背中が見えなくなった。


『疲れたし、今日はもう帰るか』


 帰り道、レイヤースペースの変化を探しながら歩いた。結果から言うと、変化は見つけることができなかった。元々変化が無かったのならいいけど、見逃していたら大変なことだ。家に辿り着き、風呂場からレイヤー0へと戻った。


 これなら部屋を汚す心配も無い。我ながら名案だ。洋服を脱ぎ、風呂場から洗濯機へと投げ入れる。汗と汚れをシャワーで一気に洗い流す。生まれ変わったかのようにさっぱりとした。風呂から上がると、スマートフォンの通知ランプが光っていた。レンからだ。


「ヒカルくん! ジンにヒカルくんから話を聞いたって教えてもらったよ! 本人は危ないことはしてないって言ってるし、信じてみようと思う。本当にありがとう!」


 お、ジンはうまいことレンに話をしてくれたようだ。


『それはよかった! また悩み事があったらなんでも言ってくれよな。俺とショーマがなんとかするからさ』

「わかった! お礼に美味しいお店をピックアップしておくから、楽しみにしててね!」


 これはまた楽しみが増えたな。……そして、同時に戦う理由も増えた。Demiseデミスの侵攻は、絶対に防がなくてはならない。

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