第224話 真っ白。

―――ジュウザブロウ


 今までのDemiseデミスの”コア”の場所を考えると、狙うのは頭部、胸部、肩部けんぶあたりだろう。


【まずは頭から狙ってみるか……】


 流石にスペランツァも警戒し始めた。そう簡単には狙わせてくれないようだ。

 まずは周囲を走る。スペランツァはじっとこちらを見ている。先程と同じように、攻撃している隙を狙うことはできなさそうだ。


【アレを使ってみるか……】


 オレはステージに上がり、緞帳どんちょうに手をかけた。一気に引っ張り、緞帳を腕に巻きつける。半分程に破れてしまったが、これで十分。左手にポールを持ち、右腕に緞帳を巻き付けた姿は異様な風貌ふうぼうだろう。

 再びスペランツァに近づき、走り回る。スペランツァの股下をくぐり、背後へと回る。ヤツが振り向く瞬間、オレは腕に巻いた緞帳を広げ、視界を奪う。そして、ほぼ同時にポールを投擲とうてきした。狙いはズレてしまったものの、胸部にポールが突き刺さった。


【よしっ!】


 作戦は見事に成功した。スペランツァは後ずさりしながら、緞帳をぎ取った。様子を見る限り、そこに”コア”は無いようだった。


【違っていたか……】


 同じ作戦が何度も通じるとは思えない。スペランツァのうなり声のような重低音が鳴り、地面が揺れた。なんとかしのぐと、目の前が真っ白に染まった。

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