第127話 雨の中に混じった毒。

 戦いが終わるまであと半分しかない。俺は外に飛び出し、戦いを挑む。アスカの居場所をさぐっている間にも、攻撃は待ってくれない。遠隔射撃を1撃喰らったが、威力については大したことはない。纏陣テンジンを少し強めに意識すれば、全てを受け切ることができるだろう。試しに遠隔射撃を左肩で受けてみた。予測した通り、纏陣で防ぐことは可能なようだ。


『よしっ……!』


 次はアスカの捜索だ。走り回る俺に矢の雨が降ってきた。その光景に圧倒されたが、遠隔射撃のものだ。数本。数本だけ遠隔射撃ではなく、本体からの射撃が混ざっていることを、俺は見逃さなかった。


『あの射撃が打ち出されるであろう場所は……。あそこか……!』


 威力は低いと言っても、流石にあの矢を全てを受け切るのは難しいと判断し、シャルを風車のように回転させることで盾代わりにしながら走り抜けた。矢の雨をくぐり抜け、目的の場所である、アパートの屋上へ降り立った。


 そこにアスカの姿は無かった。


 残り時間……あと11分。

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