第188話 去りし者たち。

『”終焉を運ぶ者”ねぇ……』

【紹介ありがとう。これで全てか?】

〈あぁ、そうだ。ご清聴せいちょう、感謝するよ〉

【……ってことは、戦闘開始ってことか?】


 グレンは問いかけながら剣を握りしめていた。


〈今日は挨拶をしに来ただけだ〉

【礼儀正しいDemiseデミスもいたものだな】

〈次は3日後。8月180日に来る。グレンくん、戦いはそのときに楽しもうじゃないか〉

【名前を覚えてくれてありがとよ。楽しみにさせてもらうぜ】

〈それでは、また会おう〉


 5体のDemiseは消えていった。


〈そうだ。ジュウザブロウくん。以前の借りは返させてもらうよ〉


 そう言うと、デゼスプワールも消えていった。


『以前のって……』

【”夢幻むげんの八月”のことだろうな】

【昔からアイツが絡んでいたってことか】

【とにかく、すぐに戦うことにならなくてよかったわ】

【確かに。次は3日後、と言っていたが……。ジュウザブロウさんは厳しいか】

【あぁ、恐らく戦うのは難しいだろう。すまないが、俺は戦力から外して考えてくれ】

【仕方ないですよ、ジュウザブロウさん】

【ありがとう、ジン】

【みんな。3日後に向けて、体調を整えておいてくれ。俺の分も頼んだぞ】

『はい!!』【はい!!】


 時間を確認すると、キチンと進んでいた。本当に挨拶だけのようだった。なんだか奇妙な感覚だ。敵の親玉。そして、”完成型”と称される5体のDemise。俺は、最終決戦の日が間近に迫っていることを感じていた。

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