八月を突破せよ

天神シズク

第1話 8月のある日。

 それはある日、突然気がついた。


『今日は何月何日だ……?』


 おもむろにテレビを点ける。ちょうど天気予報のようだ。


「本日、8月136日は快晴となっております」

「洗濯物がよく乾きそうですね〜」


 ……今、なんて言った?

 8月136日?

 ふざけてるのか……?


 天気予報のあと、すぐに番組のスタッフロールが流れた。そのまま、特に訂正もなにもなく番組は終わった。


 バラエティ番組のコントか何かだったのか?


 俺の疑問は次の音声に吹き飛ばされた。


「8月136日、本日もこちらのスタジオから生放送でーす!」


 テレビ番組のMCの軽快な挨拶だ。


 わかった。間違いない。夢を見ているんだ。


 うだるような暑さの中、ベッドへ飛び込み、目をつぶる。しばらく時間が経ったように思えるが、夢から覚めることはないようだ。


 枕元に置いてあるスマートフォンを操作する。


 画面に表示されている日付は『8月136日』。


『なんだよ、これ……』


 夢か現実かわからないまま、俺は外へ出てみることにした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る