第281話 不気味に浮くモノ。

 巨大な頭部となったデゼスプワールは、不気味に宙を浮いている。


【エンジ、ハルヒ! ヤツの"コア"は見えそうか?】

【……すみません、先程から解析はしているのですが、見えないですね……】

【エンジ! 違う!】

【なにがだ?】

【デゼスプワール自体が”コア”なんだよ!】


 全員が驚いていた。


【つまりはどこでもいいから攻撃すればええんやな】

【あぁ……。だが、すべてを壊さなければ意味がないだろうがな……】

【これはまた厄介な相手ね】

『とにかく、やるしかないな』

【各自、デゼスプワールを攻撃しろ! そして、すべてを終わらせるんだ!】

『はい!!』【はい!!】


 俺たちは走り出した。


 近づけば近づくほど、デゼスプワールの大きさがよくわかる。無数に生えている腕の大きさも尋常ではない。以前戦った、既視型仏像以上の巨大な腕がわんさかと生えている。見上げながら走っていると、そのうち数本の腕が伸びてきた。


『うおっ……!』


 上空から降り注ぐ拳を避けながら、攻撃できるポイントを探す。おそらくこの腕を攻撃したところでダメージはほとんど無いだろう。叩くべきは本体のみ。シャルを伸ばしても届くかどうかわからない。それならば……。


『やってみるか……!』


 地面にめり込む腕にしがみつき、指先に粒子集中りゅうししゅうちゅうをする。既視型仏像のときと同じ方法で行けそうだ。指先が腕に引っかかることを確認すると、俺は一気に登った。登っている最中にも拳が飛んで来る。その拳は、自分の腕だろうが関係なく破壊していく。いくつかの腕を飛び移りながら、俺はついに腕の根本まで辿り着いた。

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