第280話 絶望の始まり。

 駅前まで戻ると、オトハちゃんの治療によって、全員が目を覚ましていた。


『オトハちゃん、ありがとう』

【いえいえ。それより、ラヴは……?】

【それなら無事に倒せたよ】

【ミチヤが1発かましてくれたんだぜ】

【ぇえ!? ミチヤさんが!?】

【そんなに驚かなくても……】

【いや、驚きますよ! ねぇ、リオンさん?】

【せやな。ミチヤが戦うってイメージがないし、今回のいいとこ全部さらって行ったって感じやな】

【なんか、すみません……】


 ミチヤはたじたじだ。


【みんな、話中のところすまない】


 ジュウザブロウさんはそう言うと、デゼスプワールへと目線を送った。デゼスプワールは椅子から立ち上がり、こちらを見ている。


【今回は拍手する気力もないっちゅーことか?】

〈見事だった〉

【これで終わりなのか? 元の時間へと戻れるのか?】

〈終わりではない〉

【今日が最後だって言ってたじゃないですか!?】

〈まだ私がいる〉


 デゼスプワールは両手を広げると宙に浮いた。デゼスプワールの姿は、巨大な頭部へと変貌へんぼうした。その頭部のこめかみからあごまでのラインには無数の腕が生えている。


『これが本当の最終決戦ってことかよ……!?』

【全員、もう一度気を引き締め直せ!】

【はい!】


 俺たちは再び戦闘を開始した。


〈さぁ、ほねずいまで絶望を味わうがいい〉

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